2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【13】

『枯草熱』、「ローマ―パリ」の章にいきます。 午前八時、わたしはランディに会いに出かけた。気分は悪くない。一日をプリマジンの服用で始めたおかげで、乾燥した酷暑にもかかわらず、鼻がむずむずすることもなかったからだ。 おお、無事だったわけですね。…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【12】

では、『枯草熱』のほうにいきましょう。 妙なタイトルですが、これは「(干草の)花粉アレルギー」のことだそうです。つまり、花粉症ですね。でも、「枯草熱」ってタイトルはなかなかミステリアスでいいです。謎の奇病みたい。 この小説は、「ナポリ―ローマ…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【11】

16日間かけて読み終えて、考えてみるんですが、いろんなところで読み切れてない部分があるような気がしています。このブログでは、理解できたことだけを書いているんですが、作者レムの言わんとしていることがよくわからない部分も、半分くらいあるんじゃな…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【10】

17章、最終章です。 まず、計画に参加している学者たちを集めて、「天の声」、つまり「宇宙からのメッセージ」についての仮説が検討されます。驚きですが、この施設では、これまでそうしたことが行われてこなかったんですね。 仮説は全部で3つ。どれも意外…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【9】

前章が気になるところで終わったんですが、なかなか続きを読む暇がありませんでした。 さあ、13章〜16章までいきます。 このあたりは山場と言ってもいいでしょう。これまでゆっくりとしか語られなかったのに比べると、事態は急速に展開します。動きのある章…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【8】

わ、わ、大変なことになりました。教授が犯罪を!? ですがその前に、10章からいきます。7章で言及されている「蛙の卵」「蝿の王」。どちらも同じものらしいのですが、実際どういうものかは読んでもよくわかりませんでした。それが、この章でようやく描写され…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【7】

7〜9章まで、一気にいっちゃいます。 まず7章から。 自然科学者、環状プロセスの概念からなにを連想するかと訊けば、まず最初に、生命だ、と答えるだろう。 ということで、例の信号から読み取った「環状プロセス」がある生物を表していることを、生物物理…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【6】

ここから、短めの章が続きます。 ということで、今日は5・6章まとめていっちゃいます。 まず、5章。 ここらで「マスターズ・ヴォイス計画とは何か」をきちんと押さえておきましょう、っていうのがこの章。 マスターズ・ヴォイス計画は、いわゆる〈星から…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【5】

一日休みましたが、第4章、いきます。 アメリカ合衆国は、マスターズ・ヴォイス(MAVO)計画を国家機密として極秘裏に進めます。そしてその〈計画〉の研究施設へ、我らがホガース教授が招かれます。いよいよですね。 この研究施設はネバダ州にあり、砂…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【4】

第3章、いよいよ事件のとっかかりが語られます。 まず、二人の天文学者が、「空の一角でニュートリノの最大値を記録」します。で、彼らは2年間観測を続けたけれども何の成果も上げられず、その結果、膨大な記録テープだけが残されます。 テープ! 僕は、ニ…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【3】

第2章です。 まずこの章の冒頭に、ちょっと意外なことが書いてあります。 同僚の一人に序文を見せると、私が、あとで自分の真理愛的傾向を思うぞんぶんに発揮させるために、ここではわざと自己卑下をしているといった(以下略) え、序文、読ませちゃったの…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【2】

ということで、第1章に入りました。 つうか、「第1章」って言い方でいいのかな。この本の中では、素っ気なく「1」と書かれてるだけですが、まあ、便宜上「第1章」としておきます。 マスターズ・ヴォイス計画について書かれた文献は膨大な量にのぼり、そ…

 読めそうで読めない

「読書は体力だ」 そんなことを、たまに思います。本を読むにはエネルギーが必要だってことです。 例えば、読みたいなと思う本はたくさんありますが、そう思って買ったのに、なかなか読み始められない本があります。長い本やシリーズものの本。ややこしそう…

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【1】

一回目に何を選ぶか考えたんですが、変に意味を持たせようとすると、迷った挙げ句、いつまで経っても読み始められないような気がしたので、近くにあった本を手に取りました。『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レムです。 この本は、国書刊行会という出版社か…

 読んでる途中で書いてみた記録

随時追加します。 『愛と障害』アレクサンダル・ヘモン(2015.2.8〜3.24)一覧 『増補 夢の遠近法 初期作品選』山尾悠子《読み終えたので書いておく》(2015.1.24〜1.25)一覧 『名もなき人たちのテーブル』マイケル・オンダーチェ(2014.6.13〜6.26)一覧 …