2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『酒国』莫言 【8】

「第六章」に入ります。例のごとく「丁パート」から。 前章で丁鈎児(ティン・コウアル)を罠にはめた女性運転手ですが、これまで彼女は野性的な魅力をたたえた女性として描写されてきました。だから、彼もコロっと引っかかっちゃったわけですが、この章では…

『酒国』莫言 【7】

「第五章」に行く前に、前章の「丁パート」、最後の部分を振り返っておきます。 トラックのラジエーターを冷やすため水を汲みに行ったっきりなかなか戻ってこなかった丁鈎児(ティン・コウアル)を、女性運転手が罵るシーン。かなり気の強い女性のようで、言…

『酒国』莫言 【6】

「第四章」、まずは、「丁パート」です。 二日酔いで目覚めた丁鈎児(ティン・コウアル)は、街をぶらつきます。そしてそこで、第一章に登場したトラックの女性運転手と再会し、そのトラックに乗せてもらうことになる。 この章は、物語的にはあまり展開がな…

『酒国』莫言 【5】

「第三章」の続き、酒国市の大学院生・李一斗くんの書簡、「李パート」です。 李くんは、莫言の『赤い高粱』という小説に登場するエピソードに絡めて、尿と酒の関係についてぶち上げます。 童子の尿は地球上もっとも神聖神秘な液体であり、その中にはどれほ…

『酒国』莫言 【4】

では、「第三章」へいきます。これからは便宜上、丁鈎児のパートを「丁パート」、李一斗の書簡を「李パート」、莫言の書簡を「莫パート」、李一斗による小説のパートを「小説パート」と呼ぶことにします。 で、まずは「丁パート」から。前章で早くも嬰児の丸…