2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『そんな日の雨傘に』ヴィルヘルム・ゲナツィーノ【1】

そもそもは積読本を消化しようということで始めたブログなんですが、たまには新刊を真っ先に読む、みたいなことをしてみてもいいかも。ということで、前回予告した通り今月出たばかりのピッカピカの新刊、 『そんな日の雨傘に』ヴィルヘルム・ゲナツィーノ …

『アウステルリッツ』W・G・ゼーバルト【7のつづき】

『アウステルリッツ』については終了、というつもりだったんですが、何だかもやもやとまだ言い足りないことがある気がしてなりません。「まやかし(ファルシュ)の世界」とアウステルリッツの深い孤独について、カギカッコがないということと俯瞰で歴史を語…

『アウステルリッツ』W・G・ゼーバルト【7】

読みごたえのある小説でした。ちゃっちゃか読み飛ばせないというか、深いところに静かに訴えかけるような文体を堪能しました。 最初は、語り手の「私」がアウステルリッツという人物のエピソードを紹介し、そこに建築史や文明論が展開される、というような話…

『アウステルリッツ』W・G・ゼーバルト【6】

あと2回くらいに分けて読むつもりだったんですが、溢れ出るようなアウステルリッツの「語り」を追っているうちに、読み終えてしまいました。 ページのあちこちに登場する古びた写真を眺めて、ふうと息をつく。そんな余韻。 では、続きから。 ヴェラの元を辞…

『アウステルリッツ』W・G・ゼーバルト【5】

わ、前回の更新から、こんなに間が空いちゃったのか。なかなか、テンションを保つの難しくって、ついつい放置してしまいましたが、ようやく再開。 ざっとおさらいをしておくと、建築文化に造詣の深いアウステルリッツという人物が、自らの生い立ちや、これま…