2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『囚人のジレンマ』リチャード・パワーズ【3】

さて、謎の病気を抱えたホブソン家の父と、それを見守る子供たちの様子が描かれていくわけですが、徐々にこの子供たちの個性というか、キャラクターが見えてきました。「1」章では主にアーティがクローズアップされていましたが、今回読んだ「3」章では長…

『囚人のジレンマ』リチャード・パワーズ【2】

「2」の章にいきます。 まず、冒頭でホブソン氏の子供たちの構成が明らかにされます。アーティ25歳、リリー24歳、レイチェル23歳、エドワード18歳、ってことでいいのかな。似ているようで似ていない、個性豊かな兄弟姉妹。彼らは、父の病気に対してそれぞれ…

『囚人のジレンマ』リチャード・パワーズ【1】

リチャード・パワーズ、好きなんですよ。と言っても、まだ2作しか読んだことないんですが。これまでに読んだ2冊『舞踏会へ向かう三人の農夫』と『ガラテイア2.2』は、小説を読む醍醐味をたっぷり味わわせてくれました。ただし、軽く読める小説じゃないこと…

『デス博士の島その他の物語』ジーン・ウルフ【6】

2カ月半ですか。いやあ、時間がかかりましたね。年末年始の慌ただしい時期にかかっちゃったせいもありますが、この小説自体がかなりの曲者だったってのも大きいですね。一度読んだだけじゃわからない。三読四読当たり前。で、読み返すとその度に発見がある…

『デス博士の島その他の物語』ジーン・ウルフ【5】

では、最後の短編にいきます。 「眼閃の奇跡」 まだ遠く離れているときから、リトル・ティブは列車が近づく音を聴き、足で感じていた。線路から鋼弦コンクリートの枕木に降りて、耳を澄ます。それから片方の耳をどこまでも伸びる鋼鉄にくっつけ、その歌が、…