2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『デス博士の島その他の物語』ジーン・ウルフ【1】

今回は、SF。 『デス博士の島その他の物語』ジーン・ウルフ です。 ジーン・ウルフは、アメリカのSF作家。文体にこだわる人らしく、その作風は難解だとか実験的だとか言われています。そう聞くとつい構えちゃいそうですが、この本は短編集なのでそれほど…

『ペドロ・パラモ』フアン・ルルフォ【5】

簡潔にして濃密。これがこの作品『ペドロ・パラモ』の印象です。余計なものを削ぎ落とした文章の背後に漂う、濃密な気配。何かがありそうなんだけど、それが何だかなかなかわからない手探り状態で読み進んでいくわけです。 物語は、時系列をバラバラにした断…

『ペドロ・パラモ』フアン・ルルフォ【4】

読み終えました。わずか200ページだってのに、うーん、濃密。二度読み返したくなるような、複雑な構成にクラクラします。 後半、主に描かれるのは、ペドロ・パラモとスサナの関係です。ペドロは夫を亡くしたスサナを無理矢理コマラの町に呼び寄せ、妻にする…

『ペドロ・パラモ』フアン・ルルフォ【3】

そう言えば、前回読んだ最後のあたり、ダミアナのセリフに主人公の名前が出てきました。フアン・プレシアド。でも、このタイミングまで名前がわからないってのもすごいですね。いろんな人物の名前が出てくるのに、主人公だけは名前という輪郭をなかなか与え…

『ペドロ・パラモ』フアン・ルルフォ【2】

さあ、どんどんいきましょう。 夜、家の外の物音に耳をすますエドゥビヘスに主人公は「どうかしたのか」と尋ねます。エドゥビヘスの答えはこうです。 「メディア・ルナの道を走るミゲル・パラモの馬だよ」 「じゃ、メディア・ルナには誰か住んでるのかい?」…