2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『酒国』莫言 【3】

徐々に面白くなってくるタイプの小説と、最初っから何かすごいことになりそうな予感がビリビリする小説があるとすれば、『酒国』は後者でしょう。まだ物語が始まって間もないのに、反応したくなるところがありすぎ。 ということで、なかなか進みませんが、「…

『酒国』莫言 【2】

「第二章」にいきます。またしても、4つのパートに分かれています。 まず、第1節。前章の第1節、丁鈎児(ティン・コウアル)のパート、事件について炭鉱の共産党委員会書記と鉱山所長に問いただそうとした、その続きです。 二人は丁鈎児に対し、食事をし…

『酒国』莫言 【1】

今回は、 『酒国』莫言 です。 「特捜検事丁鈎児の冒険」とサブタイトルがついています。「丁鈎児」は、中国語で「トランプのジャック」を指す名前だとか。 ちなみに莫言は、「モーイエン」と発音します。日本読みだと「ばくげん」。「中国のガルシア=マル…

『童話・そよそよ族伝説』別役実 【まとめ】

難儀しました。決してつまらなくはないんですが、どうにもつかみどころのないお話で、どう伝えたもんかよくわからない。結局、あらすじを追うだけになっちゃいましたが、あらすじを追ったところで、この物語のこのもやもやした感じは伝わらないわけで…。ジレ…

『童話・そよそよ族伝説 (3)浮島の都』別役実 【2】

アミ、サト、片目のクニは、あまんしゃぐめの勧めで、またしても旅に出ます。今回は、「なるかみのへづり道」→「やみの岩戸」→「よもつひらさか」という、夜見の国の近くを抜けるルート。一歩あやまれば、夜見の国へまっさかさま、死者の仲間入りをするとい…

『童話・そよそよ族伝説 (3)浮島の都』別役実 【1】

はい、第3巻 『童話・そよそよ族伝説 (3)浮島の都』別役実 です。 今回は、施療院島から始まります。どうやら、「うつぼ舟」から始まる諸々のできごとの背後には、夜見の国のスサノオと大氏王朝のアシハラノシコオとの「約束」があるということが、施療…

『童話・そよそよ族伝説 (2)あまんじゃく』別役実 【3】

いきなりですけど、読み終えちゃいました。なので、今回はだだだっといきます。 「六 海の向うの子供・夜の底の子供」「七 猫一族」「八 葦原の海」「九 五郎森」の章をば。 ツモリ老人、アミ、モモソヒメと赤ん坊、アミの友人サト、うらひくの村の片目のク…

『童話・そよそよ族伝説 (2)あまんじゃく』別役実 【2】

「三 風の森」の章では、「葛城のからす使い」ハセオが登場し、視点がまたしても変わります。しかしそれよりも意外な人物が、「四 いかだ舟」の章で登場します。その人物とは、前巻『うつぼ舟』に出てきたアヤト老人です。 アヤト老人は、「ふせの泊」に暮ら…

『童話・そよそよ族伝説 (2)あまんじゃく』別役実 【1】

シリーズ第2巻。 『童話・そよそよ族伝説 (2)あまんじゃく』別役実 です。 「一 みずがきのみや」の章から。 ミマキイリヒコは、シキのみずがきのみやの奥深いところにひっそりと身を横たえて、ゆるやかに五感をひらき、彼等のはるかな祖先が出発してき…