2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『ガラテイア2.2』リチャード・パワーズ【2】

知らばっくれててもアレなので書いちゃいますが、この小説の語り手である主人公「僕」は、どうやらリチャード・パワーズらしいです。本文中で、過去の自作についてしばしば言及していますし、作者パワーズも「僕」同様にそもそもは物理学を志していたそうで…

『ガラテイア2.2』リチャード・パワーズ【1】

あんまり暇がないんで、ちょっと更新を休もうかなと思ってたんですが、やっかいそうな本を読み始めちゃいました。 『ガラテイア2.2』リチャード・パワーズ です。 パワーズは、デビュー作『舞踏会へ向かう三人の農夫』が素晴らしくよくって、他の作品も読ん…

『どんがらがん』アヴラム・デイヴィッドスン【6】

ここに収録されたデイヴィッドスンの作品は、どれも変な話です。でも、どこに「変さ」があるんだろうと考えると、「奇想」の部分よりも、実は「書き方」のほうにあるんじゃないかという気がしてならない。 殊能将之は解説で、「独特の文体」としてその読みづ…

『どんがらがん』アヴラム・デイヴィッドスン【5】

そうこうしているうちに、読み終えちゃいました。残ってたのは3編。どれもこれまでの作品に比べると、ちょっと長めの短編です。 「すべての根っ子に宿る力」 サント・トーマス郡の警察官カルロスが病院にやってくるところから始まります。「頭が割れそうな…

『どんがらがん』アヴラム・デイヴィッドスン【4】

忙しくて、また間が空いてしまいましたが、再開します。 今回は、4編。ざざっといきますよ。 「グーバーども」 親を亡くし、意地の悪い祖父に育てられた少年のお話。とは言うものの可哀想なお話にならないのは、柄の悪い少年のイキのいい一人称で語られてい…