2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

山尾悠子歌集『角砂糖の日』について

『夢の遠近法』に絡めて葛原妙子という歌人についてちょこっと触れましたが、彼女のことを「幻視の女王」と読んだのが歌人の塚本邦雄。幻視の女王とは、山尾悠子にも当てはまりそうな呼び名ですね。そして、山尾悠子による『夢の遠近法』自作解説には、塚本…

『夢の遠近法――山尾悠子初期作品選』山尾悠子【5】

ここじゃないどこかへ。現実世界のほうが遥かな夢に思えるほどに、耽溺してしまいました。とにかく圧倒的な幻視力。漏斗型の街、月の門、腸詰宇宙、支那、高原都市、月の年齢に支配される土地…。言葉によって構築された見知らぬ世界を、存分に堪能しました。…

『夢の遠近法――山尾悠子初期作品選』山尾悠子【4】

「夢の棲む街」の天使の描写について、「葛原妙子の短歌にそんな天使が出てきたような」と書きましたが、僕がぼんやり連想した短歌を見つけました。こんな歌です。「天使まざと鳥の羽搏きするなればふと腋臭のごときは漂ふ」。獣じみた天使というところが、…