2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『ノーホエア・マン』アレクサンダル・ヘモン【7】

文章を味わう、久しぶりにそんな読み方ができる小説を読んだなあという実感がありました。前もちょっとだけ触れましたが、アレクサンダル・ヘモンは、母国語ではなく習得した英語で小説を書くことを選んだ作家です。だから、一語一文に繊細にならざるをえな…

『ノーホエア・マン』アレクサンダル・ヘモン【6】

読み終えました。うーん、不思議な読後感。何故かというと…、ということで最終章。 「7 ノーホエア・マン/キエフ、1900年9月―上海、2000年8月」。 いきなり時代は1900年に遡ります。そして、エヴゲーニイ・ピック、通称キャプテン・ピックという謎めいたス…

『ノーホエア・マン』アレクサンダル・ヘモン【5】

面白いもんだからなかなか本を閉じられず、二章分読んじゃいました。なので、一気にいっちゃいます。 「5 深い眠り/シカゴ、1995年9月1日/10月15日」。 守衛は眠りこけ、椅子からすべり落ちそうになりながらホルスターの拳銃に指をかけていた。プローネク…

『ノーホエア・マン』アレクサンダル・ヘモン【4】

アレクサンダル・ヘモンは、サラエボ出身で、20代のときにジャーナリストとしてアメリカに滞在中、ボスニア戦争が勃発。帰れなくなっちゃって、それ以降、英語を習得しアメリカで作家になったという経歴の持ち主だそうです。なるほど、と思いながらも、ひと…

『ノーホエア・マン』アレクサンダル・ヘモン【3】

前章にはこう書かれていました。「私はウクライナに行っていないので、彼の人生のこの部分については、だれかほかの人間に語ってもらわなければならない」。ということで、第三章では「ほかの人間」によってヨーゼフ・プローネクのキエフでの日々が語られま…

『ノーホエア・マン』アレクサンダル・ヘモン【2】

一章の最後の方に「彼にはどんな物語があるのだろう」というフレーズが出てきましたが、第二章ではヨーゼフ・プローネクの半生が語られます。そうそう、それが知りたかったのよ。では、つづきから。 「2 イエスタデイ/サラエヴォ、1967年9月10日―1992年1月…

『ノーホエア・マン』アレクサンダル・ヘモン【1】

都甲幸治『21世紀の世界文学30冊を読む』という本で紹介されていて読んでみたいなと思った作家が何人かいたんですが、中でも気になった作家がアレクサンダル・ヘモンでした。だけど、この都甲さんの本は日本で翻訳されていない小説を取り上げるというコンセ…

再開

ごぶさたしてます。なかなか時間がなくて更新できないなあ、なんて思ってたんですが、読みはじめた本がかなりよさげなので、思いきって再開することにしました。ピンチョンは途中で止まってるし、「読み終えたので書いておく」をやりたい小説もいくつかあっ…