2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『ガラテイア2.2』リチャード・パワーズ【6】

『舞踏会へ向かう三人の農夫』は、章立てが重要な構成要素となっている作品でしたが、この『ガラテイア2.2』は、章で分かれてはいません。いくつかの断章が三行空きの空白を挟んで、ずっと続いていくという形式になっています。そのせいか、ずるずるべったり…

『ガラテイア2.2』リチャード・パワーズ【5】

ちょっと表記について。主人公の一人称で語られている小説なので、語り手は「僕」と表記されており、作者と同じ「パワーズ」の名前を与えられています。そこで、「DOUBLe HoUR」では、作中人物の場合、「僕」もしくは「パワーズ」とカッコ付きで表記、作者自…

『ガラテイア2.2』リチャード・パワーズ【4】

この小説の構造が少しずつ見えてきました。どうやら、この小説は3つのパートで構成されているようです。思考するマシンを作るというレンツ博士との共同作業の様子、かつての恋人Cとの日々の回想、南行きの列車から始まる新しい小説をめぐる思索。これらが…

『ガラテイア2.2』リチャード・パワーズ【3】

前回、積み残した「神経回路網」についてですが、どうやらレンツはこの研究によって、脳をシュミレートする人工知能を作り出そうとしているようです。自ら学習するマシン。言葉を学び、やがて喋リ出す箱。 ということで、続きにいきます。 「僕」は、例の一…