『童話・そよそよ族伝説 (3)浮島の都』別役実 【2】


アミ、サト、片目のクニは、あまんしゃぐめの勧めで、またしても旅に出ます。今回は、「なるかみのへづり道」→「やみの岩戸」→「よもつひらさか」という、夜見の国の近くを抜けるルート。一歩あやまれば、夜見の国へまっさかさま、死者の仲間入りをするという危険な道です。旅に出る前の、ツモリ老人のアドバイスが、なかなか味わい深いです。

「そこで、どんな用心をしていいのか、お前たちにはわかっていないのだ。いいかね、そこまで夜見の国に近づくと、死は怖くないのだ。死がむしろ、やさしくて、おだやかで、なごやかなもののように思えてくる……。これが問題だよ。死が怖いものである時に、私たちはどう用心していいか、よくわかっている。しかし、死が怖くない時、私たちは用心なんかしないんだ……」

なるほど、真の危険とは、危険に魅入られてしまうことなのかもしれません。こうした逆説的な物言いは、別役実が得意とするところです。
さて、この先いろいろありますが、もうあらすじを追うのはいいですね。
というのも、実は全部読み終えちゃったんですよ。ラストは、すべての流れがひとつとなって、モモソヒメとその子供をどうするかの結論が下されます。これまで、もやもやとしてた物語が、一応の決着を見せる。
でも、僕としては、結論が出なくてもよかったんだけどなあという気がしてなりません。「わからない」は、「わからない」のままでもよかったのになあと。


ということで、『童話・そよそよ族伝説』シリーズ、全3巻読了です。