『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム 【1】

天の声・枯草熱 (スタニスワフ・レム コレクション)
一回目に何を選ぶか考えたんですが、変に意味を持たせようとすると、迷った挙げ句、いつまで経っても読み始められないような気がしたので、近くにあった本を手に取りました。

『天の声・枯草熱』スタニスワフ・レム

です。


この本は、国書刊行会という出版社から出ている、「スタニスワフ・レム コレクション」の1冊で、レム後期の長編『天の声』と『枯草熱』の2作をカップリングしたものです。


収録されている最初の長編、『天の声』からいきます。
レムの作品では、『ソラリス』がSFの古典として有名ですが、『天の声』は、それよりも「ややとっつきにくい」と解説に書いてありました。適度に難解そうで、わくわくします。よっしゃ、やってやろうじゃないの。


で、ページをめくると、まず「発刊の辞」なるものからスタートします。

本書は、ピョトール・E・ホガース教授の遺稿中から発見された原稿を公刊したものである。

つまりこの教授の手記っていうスタイルで書かれている本なわけです。ふーん。
で、またページをめくると、今度は、このホガース教授による「序文」が始まります。まあ、ここいらへんはサクサクっと読んで、本文に入ればいいやと思ってたんですが…。


早速、この序文でつまずきました。長い、そして難しい。
ホガース教授は、生きているうちから伝記が何冊も出版されているような天才数学者です。で、彼が、何故、現在のような研究をするようになったのかが、この序文で語られています。したがって、教授の思想のエッセンスがここに凝縮されているような気がします。
気がしますが、文章の回りくどさとわかりづらい比喩に振り回されて、なかなか理解がおっつかない。「石や砂をさんざんぶちのめし」って、何を言ってるんだ? 「リズミカルに動いている死体のようなパスカルの宇宙」って、どーゆーこと?
あ、こんなのもありました。

なぜなら、数学の住み家とはことばだからだ。

これは、ちょっとカッコいい。「なぜなら」なんて言いながら、結局意味はよくわかりませんが、妙に気になるフレーズです。


そして、この長い序文の最後のほうで、ようやくこれから始まる本文の片鱗が窺えます。

以下に述べる異常な事件は、人類には属さない生物が暗黒の宇宙に送りだしたものに人類が遭遇したという点に尽きる。

おおっ、「異常な事件」。そーゆーのを待ってたんですよ。
しかし、この「尽きる」っていう言い回しは、ちょっと気になりますね。ただそれだけのことだよ、いいも悪いもないよ。そう言いたげです。味も素っ気もない。「異常な事件」、なのにね。


というところで、今日はここ(P26)まで。まだ序文なので、何ひとつ始まっちゃあいませんが。